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それはずっと、山奥に埋まった形で時を待っていた。
もうすぐ夏休みの七月半ば、一週間もの間大雨が降り続いた。
それにより起こった土砂崩れ…村に被害はなかったが、交通手段を完全に断たれてしまった。
復興までにかなりの時間を要すると予想された作業は、予定よりも早く必要がなくる。
やっとのことで到着した救助員は村の人間を見つけることができなかった。
否、生き物はいたのだが…。
村にいた生き物は皆、人間の形をしている植物だった。
犬や猫には異変は見られず、人間だけが寄生植物に乗っ取られていた。
拒絶反応を起こした者もいるらしい。
それは皆高いところから飛び降りて死んでいた。
植物達は薄ら笑顔で救助員を出迎えた。
―ようこそ花園へ―
人間の体からランダムに突き破って出てきた花。
瞳は目の前の救助員をみていない。
口の端から涎を垂らしながら、時折覇気のない笑い声を発する。
そして、救助員も『感染』する事になった。
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