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雪の舞う中、一人の少女が屋上から飛び降りた。
どうやって入ったのか、オフィス街の中でも一番高いビル…鍵はきっちりとかかっていた筈の、平日の日差しが柔らかな午後のことだった。
少女は沢山の人に目撃され、沢山の人の記憶に残っていた。
彼女はこの寒い中、薄いパジャマ一枚に裸足という姿で歩いていた。
そしてすれ違う人を呼び止め、『うさぎさんはどちらへ行きまして?』と問いかけ、相手の頬を両手でそっと包んでいった。
だが、屋上へ上がって行く姿は誰も見ていなかった。
その後、同じ行動を起こす者が続出する。
性別年齢関係なく、皆まるで少女のような仕草と言葉…。
いつしかその行動を『アリス』と呼ぶようになった。
アリスは感染者との肌の接触によって感染する。
薄布一枚でも挟めば感染は免れるが、アリス感染者達はなんとしてでも仲間を増やそうとする。
そしていつか第二段階に入り、体から花を生やす。
まともな人間は急速に少なくなっていった。
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