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アリスが蔓延してから数年。
ボクは二年前に感染した。
しかし気を狂わせることはなく、ボクはボクのままだった。
元々狂っていたのか…今ボクは一人の少女を匿っている。
ボクは白の騎士を名乗る。
彼女を守るために、彼女の騎士となる。
ボクが感染したとき、横にいた彼女は難を逃れた。
奴は第二段階への移行に失敗し、高いビルを求めて去っていった。
ボクは感染した違和感…頭の中に別人が入り込もうとする瞬間、彼女を守りたいと心の底から願った。
つい先程まで、殺してやろうと追いかけ回していた相手をだ。
ナイフを手に飛びかかる瞬間だったのだ。
本物の狂気の前にはボクの欲望もすっかり消し飛び、一緒に恐怖を味わう少女を守ろうとさえ思わせた。
そして、結果それがボクに人間としての思考、心を維持させる鍵となったのだった。
彼女はいつも水色の薄布を頭の先から爪先までくるまるように身につけている。
感染しないように、ボクが守りやすいように。
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