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さまよい続けて日にちを数えることもしなくなった頃、ボクらは一件の店を見つける。
その店はよそと違い、綺麗すぎた。
違和感を覚えたボクは店に入る。
中もまた綺麗に整頓され、久々に『人間らしい』感じがみられた。
カウンターに綺麗な身なりの男性がいる。
年は40過ぎだろうか、オールバックにした頭髪に少し白髪の混じる痩せ気味の背の高い店主。
彼からは感染者の匂いがした。
『いらっしゃいませ』
穏やかな声に狂気はみられず、やがて彼もボクと同じなのだと気づいた。
彼は『店を守る』ことで正気を保っているのだ。
『商品はないが、休憩はできるだろう。ゆっくりしておいき。』
ボクらは店の中にあるソファで休ませてもらった。
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