地下室アリス

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毎日一人、仲間が増える。 今日で5人になった。 皆年も住む地域も違う、全く知らない者同士だった。 共通点はただ一つ。 アリス 明日も増えるであろうアリス達は、赤い部屋で一つに固まり震えるしかなかった。 食事は最低限で風呂はなく、一人一枚毛布が配られるだけだった。 食事を運んでくるのは背の低い陰気で小太りで気味の悪い…とにかく悪い物をすべて備えたような男だった。 そいつが来ると皆殴られるの。 そいつ曰く、逃げる体力を残させないためだって。 男が出ていった後はアタシが皆を励ます。 逃げる体力を奪うってことは、最悪殺される心配はないわ。 ポジティブともネガティブともとれる励ましでも言わないよりはマシ。 アタシ達は『生きていればチャンスはある』を合い言葉に、今の状態にできる限り耐え抜こうと誓いあったの。
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