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『これで全てが揃った!』
部屋を揺るがさんばかりの大声にアタシは飛び起きる。
声の主を確認すると、全く同じ顔と声、体格、鏡で映したように左右対称の服を着た二人の男が出入り口に立っている。
双子だったのか
そのシュールな風景にアタシはどうでも良い事をぼんやり考える。
他のアリスも目を覚まし、やはり分裂したとしか思えない二人を見て声をなくす。
双子はそんなアタシ達を気にすることなく、一冊の古い本を覗き込んでなにやら興奮した上擦った声で話している。
アタシ達には言葉の意味どころか聞き取ることすらできない。
他のアリス達はもう限界とばかりに、二人に対し罵倒する。
男達の歓喜とアリス達の怒り、部屋の赤さが深まったような気がした。
アタシは一人、離れた場所で様子を見守る。
アタシの中にあった現実感は完全に崩壊し、全てがゲームの中の話に思える。
『さぁ、大鴉を呼び出すぞ!』
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