地下室アリス

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双子は飛び跳ねるように踊りだす。 見た目に比べ随分と身が軽い。 左右対称のその踊りはとても奇妙で不気味、そして歌はもっと奇妙。 怒りを通り越したアリス達の顔は唖然。 赤い世界で踊り狂う醜い双子は悪夢から出てきたピエロのようだった。 そして悪夢は現実へと這い出す。 一番双子に近い位置にいたアリスがガタガタと震えだし、頭をおさえてうずくまる。 隣にいた者が介抱をしようとしゃがみ、肩に手を置いたその瞬間だった。 ぱぁーん なにが起こったのかわからなかった。 見る見るうちに彼女の頭が膨れ上がり、頭蓋骨が内側から破壊される音、振り返った彼女の…もう人間の顔じゃなかった。 そして、水風船が割れるような音をたててはじけた。 破片はあちこちに飛び散り、アタシの顔にもベチャと嫌な音を立てて張り付く。 時間が凍り付いたように、誰一人動くことができなかった。
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