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『おい、さっきの話だが、一人殺されたってのは…本当なのか?!』
……。
……。
牟田は返事はしないが、オレはどうしても気になったので、執拗に聞きただした。
『牟田、教えてくれ。俺たちもそれなりに覚悟しておきたいんだ。』
オレの幾度の質問に牟田はイライラしていた。
『ちっ
。何でお前に言わなきゃいけねーんだ。』
そして、牟田が小声で返事をする。
その様子から、”死んだ”といことが本当のような気がしたが、牟田の口から聞きたかったので、更に問いかける。
『あの時、お前の顔が少し悲しそうに見えたんだ。
やっぱり本当なんだな。』
……。
……。
少しの沈黙をおいて、牟田が口を開く。
『ちっ、…ああ、そうだよ。
ただ厳密にはまだ死んでいない…はずだがな。
ピエロはマインドコントロールとか言ってやがったな。
ピエロが丸岡に何かをしたときに急に倒れて、目を覚まさなくなった。
何をしたかは分からなかったが、何かをしたのは間違いねぇ。
一瞬の出来事だった。
その後、丸岡は運ばれていっちまったよ。
ちっ、オレとしたことが、喋りすぎてしまった。』
牟田が涙を一粒流す。
試合中の涙も、もしかしたら本当だったかもしれない。
マインドコントロールか…。
大変なことを聞いてしまった。
この問題について、考えないといけない。仁と相談しなければ。
少し間をおいてオレは、牟田に一言だけ言った。
『そうか。話してくれてありがとう。辛いことを話させて悪かったな。』
オレはそう言い残して、この場を後にした。
第一試合
試合時間:4時間25分
東化高校:勝利
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