なぜそれがあったかなんて知らない。

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 それは、ボクの部屋にあった。  女性の、腰から下の部分。  真っ白なシャツ、女学生なのであろうか、制服だと見てわかる生地のスカァトを膝丈に履き、紺色のソックス。  学校指定のソックスではないようで校章などは刺繍されておらず、どこの制服かまではわからなかった。  おそらく胸部から下をばっさり切ったであろうと思われるそれは、少し長めのどっしりとした木製の机に乗っかっていた。  はじめ、頭の部分は机の向こうにぶら下がっているのだろうと思っていた。  こう、だらんと腕を床にたらすように、机に乗り切らなかった部分が見えなくなっているのだろうと思っていた。  でもそれは、確かに、腰から先はなかった。  断面になる部分はーシャツがくるりと覆う形に縫われ、はじめからそうなるようしつらえてあるようだった。  わざわざ脱がさなかったのは、断面を見てもここにある理由はわからないし、見る勇気もなかったからだ。
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