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・・・寝言だろうか。いったいどんな夢を見ているのだろう。
しかし、今はそんな事を考えている時間はない。敵はすぐそこにまで迫っている。すぐに姫様を起こして安全な場所へ避難させなければならない。私は姫様の体を揺すって起こそうとする。
「・・・?どうしうました?・・・これは・・・何の騒ぎです!?」
姫様もこの普通ではない雰囲気に気づいたようだ。
「敵襲です!ガストール帝国の兵士がすでに城内まで!早く避難を!」
「は、はい!」
私は先に部屋を出て敵がいないことを確認する。敵がいないことを確認すると、私は姫様を誘導するように駆け出す。姫様も私の後について走り出した。その手には先端に水晶が取り付けられた杖を持っている。姫様愛用の杖だ。といっても、その杖自体に魔力があるわけではなく、所持者の魔力を増幅させるためのものだ。それに、姫様はそれほど魔法が得意というわけではない。使える魔法は数少ない。原因は退屈だからと授業をサボって逃げ出してしまうからだ。私も逃げ出した姫様を捜して、ラングノート城内を探し回った事がある。
ちなみに、魔力はわずかながら人間なら誰でも持っている。しかし、魔力があることと魔法が使えることは全く別の話だ。魔法を使用するためには特別な訓練が必要だ。従って私も魔力は持っているが、魔法を使うことはできない。
「いたぞ!こっちだ!」
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