27人が本棚に入れています
本棚に追加
目の前から声が聞こえた。身につけている鎧甲から我が王国の物では無い。敵の、ガストール帝国兵士だ。数は二人だ。
「姫様、下がっていてください!」
私は腰につけていた剣を手に持ち、敵兵士へ駆け出し、敵兵士が武器を身構える前に剣を振るう。私の剣は敵の鎧を切り裂き、敵兵士から血しぶきが舞う。背後から「ひっ!」と驚いたような声が聞こえた。姫様にとってもこの状況は生まれて初めてのことなのだろう。しかし、今は非常事態だ。とにかく姫様の身の安全が第一。私はこのようなときのために脱出口を知っている。そこから姫様を城外へ避難させなければならない。
「大丈夫です。さあ、こちらへ。」
私はそのまま姫様を先導し、脱出口へと向かう。
「姫様!リース!」
その途中、見覚えのある大きな鎧を着た大男に遭遇した。口元から顎にかけて立派な髭を生やしている。年齢は40歳ぐらいだろうか。手にしているのは将軍の身長よりも長く、その先端は鋭くとがった槍状の形をしていて、穂先には斧状のものが取り付けられている。ハルバートと呼ばれる武器だ。
彼はラングノート王国の最強の戦士であり将軍のアーヴィン。私でも訓練で何度も模擬戦闘を行ったが、一度も勝てたことはない。その姿を確認した姫様が今にも泣き出しそうな声で話しかける。
「アーヴィン将軍!状況は・・・どうなっているのです!?」
「状況はよくありませんな・・・ここも落ちるのは時間の問題です。姫様は早く脱出を
最初のコメントを投稿しよう!