愛しの吸血鬼

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暗い家でも待ってくれている、人はいるんです。 鍵を回して、家の戸を開く。 真っ暗でなにも見えないので、部屋の照明をつける。 物音とか、なんにも聞こえないので、わたしはちょっと不安になる。 寝室に顔をのぞかせると、棺桶の蓋は開いていない。 大きな十字架のマークが描かれた、棺桶。 わたしの彼の寝床。 蓋を開けると、そこには、やっぱり彼の顔がある。白くて、上品な顔。健康な色の唇と、口からはみ出すように生えている牙。 とりあえずわたしは彼のほっぺにお帰りのキスをする
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