プロローグ

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それから6年。 俺は孤児院に引き取られ、そこで自分より年少の子の面倒を見つつ、学校に行った。 柿田正彦が、お金を出してくれたらしい。全く、何者だあの野郎。 それでも俺は、小学校の6年間を無遅刻無欠席で過ごし、今日卒業式を迎えた。 成績もまあまあだ。 友達もそこそこいる。 そんな普通な日々だった。けれどその普通はあの時、柿田正彦がいなければなくなっていただろう。 俺はあそこから飛び降りて死んでいただろうし、柿田正彦がいなければ、孤児院暮らしだということでいじめられても立ち向かえなかった。 そして、父さんと母さんのお墓も作ってくれた。 俺がここにいられるのは全て、柿田正彦のおかげだと、不本意ではあるのだが感謝はしている。
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