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第三章
「なんだ…面白いところだったのに」
一つの影が、ぼそりとしかし何処か楽しげに呟く。
目線の先には、狐と狸の妖怪と、人間。そして去っていく陰陽師の姿があった。
「化け狸も加勢ってことは…化け狸の長も腹を決めたって事かな…。
全く…気がしれない。」
すらりとした身体に黒の帽子とロングコート。
一つに束ねた長い髪を揺らしながら、影は身体の向きを変え、静かに歩き出す。
「まぁいいか。
十分観察させてもらうよ。九尾長の息子とそして…人間。」
何処からともなく取り出したキセルをふかしながら、
それは道の向こうに消えていった。
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