第三章

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ニコリと笑う瑠璃の顔が今度は悪魔にしか見えない。 無理無理無理無謀!! そんなんじゃ私の人生妖怪に関わったまんま結婚も出来ずに死んじゃうじゃない!! そんなのイヤ!! 「嫌だ!絶対嫌!前言撤回!こんなのやめる!!」 「まぁまぁ落ち着いてよはるな。 あくまでこれは俺達の想像だよ。俺達だって人間に預ける理由なんて分からない。長から教えて貰ってすらいない。まずは様子を見てみたいんだ。いいかな?」 …瑠璃の笑顔って何か魔法みたいなのかかってるよね絶対。 だってこの笑顔見たら何も言い返せなくなっちゃうんだもの…。 九里は依然として仏頂面を崩そうとはしない。 「とりあえず…俺はこの事を報告に戻るよ」 「早いな」 「まぁね」 「成る程…お前は偵察係っつー訳か…」 九里が俯きがちに瑠璃を見る。 睨んでこそはいなかったがその眼は鋭かった。 「別に九里だって悪い事してる訳じゃないし構わないだろ?」 「…違いねぇな」 「とりあえず助かった」 最後にそう九里は告げた。 「はるな、何も分からなくて心配だろうけど…何かあったらこれに念じてよ。」 「え?」 渡されたのは透き通るように綺麗な青い勾玉と狸の尻尾のようなふさふさした飾りのついた首飾りだった。 「俺の妖力かけてあるから。握って念じれば俺も駆けつけるよ。」 「あ、うん!分かった…!」 妖力とか言われてもピンと来ないけど現実が非現実になってしまった今、もう驚く事なんてない…! 「随分な念の入れようだな」 「九里だけじゃ心配だからね」 「お前が心配してるのは赤子か…?それとも…」 「ふふ…さぁね」 突然部屋の中にも関わらずぶわっと風が巻き上がった。 「わ…っ!!」 机の上に置いておいた大学の資料は部屋の中を飛び回り部屋の壁にかけてあるカレンダーがぱらぱらとめくれた。 「じゃあねはるな」 風がぴたりと止んだ次の瞬間には瑠璃は既に消えていた。 あははは…資料のプリントが…手伝っていって欲しかったよ瑠璃サン…。 「まさか狸のジジイも…計画しているとはな…」 せっせと机から落ちた資料を拾っている横で九里が瑠璃の消えた座布団を眺めて呟いた。
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