第三章

6/11

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「他に何か聞いておきたい事はないか?」 赤ちゃんをあやしていると九里が仏頂面で聞いてくる。 「て言ってもまだ何も分からないし…」 赤ちゃん… あれ…? 「この子って名前ないの?」 そう言うと私の質問内容が相当想定外だったようで、九里は驚いた表情で一瞬固まった。 鳩が豆鉄砲食らったような顔ってこういう顔を言うのかな…。 「そういや…姉貴にも聞いてなかったな…」 「え…無いの?!」 「呼び名くらい付けて置いた方がいいな…」 そう言って九里はあの有名な考える人のようなポーズをする。中学の時の美術の教科書に載ってたよね。 お姉さんの子だものね、ちゃんとした名前つけてあげたいよね。 こういうところ可愛いな…。 「うーん…花男…民男…寛之助…」 「…え?なにそれ?」 「は?名前だろ?」 必死に考えてるところ悪いんだけど… 「やだ」 「何が嫌なんだよ!」 「全体的に嫌だわ!!ダサい!!」 横で九里がすごい形相で睨んでくるけど付けるからにはもっとおしゃれな名前がいい! てゆーか今更だけど この子男の子だったんだ…!! 赤ちゃんって見た目で判断出来ないよね…。 「じゃあお前はどんな名前がいいんだよ」 「え…えっとぉ…」 いざ聞かれると咄嗟には出てこないもので… 「じゃあ花男だ」 それは絶対に嫌!! 「ゆ…悠助!!」 「は…?」
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加