第三章

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「悠助よ、ゆうすけ!可愛いでしょ!」 「いまいちピンとこねーな…お前あんまり名前つける才能ねーだろ。」 「花男に言われたくないわよ!」 ネーミングセンスはそれなりだと思ってるよ自分では!! 「ねー、花男より悠助のほうがいいよねー。」 私が笑いかけるとその子も笑う。 「悠助で決まり!」 「ゆうすけ…ま、いいけどよ…」 九里は仕方ないなというようなそぶりを見せるけど 内心気に入ったって顔に出てるよ。 「うっ…んん…」 「え?!何?!」 さっきまで笑ってた悠助が急にぐずり出した。 「メシなんじゃねーのか?」 「そっかご飯か!」 ………… ご飯って…… 「どうするの?」 「お前なぁ…」 九里が頭を抱えた。 な、何よ!仕方ないじゃない!! 「赤ちゃん用の粉ミルクなんて無いし…」 「牛乳はあるか?」 「あるけど…そんなのでいいの?」 「十分だ。皿に入れて温めて持って来てくれ。」 お皿…? 哺乳瓶とかじゃなくていいの? どの道うちに哺乳瓶なんて無いけど…。 言われるがままにキッチンに向かい牛乳を温めお皿に注ぐ。 「これでいいの?」 「ああ」 再び部屋へ戻ると悠助は九里が抱っこしていた。 顔に似合わず面倒見はいいらしい。 それともお姉さんの子供だからか…。 悠助を抱いてる九里を見てなんか私と九里が夫婦みたいだなと一瞬でも思ってしまった私は馬鹿だ。自分を殴りたい。 「でもお皿じゃ飲めないよ?」 「どの道飲めねぇよ」 「え?」 「俺達には見える人間と見えない人間がいるだけでちゃんと実態がある。 即ち自分の意思で物に触れたり食べる事だって可能だ。 しかし食べるという上でもう一つ、人間にのみ可能な方法がある。」 「人間だけに…?」 「供えるんだ。」 「は?供える…?」 「…今の人間は墓に供え物もださねぇのか?先祖さんも可哀想だな。」 その同情するような顔…なんか腹が立つんだけけど。 「いやお供えくらい知ってるよ! ただ…どうすればいいのか…」 「要は気持ちの問題だな。食べて下さいという気持ちだ。 日本人は昔からそうやって霊と関わってきただろ?」
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