第三章

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「はるな!駄目じゃない!牛乳出しっぱなしだったわよ!!」 突然部屋のドアを開けて出てきたのは… 私のよく知る人。 「お…お母さん…!!」 急に開けられてびっくりしたのはさて置き、部屋に九里達がいる今の状況に焦る。 でも待て落ち着け私… 大丈夫、お母さんにはきっと九里も悠助も見えないはずだから… ここは何も悟られないように乗り切るのよ…! 「あーごめんねしまい忘れちゃって…」 「まぁ!!」 何かに反応したようにお母さんは部屋の中に入ってくる。 まさか… 「はるなったら何時の間にこんなかっこいいボーイフレンド見つけたのかしら!」 お母さん…まさか… 九里が見えてる…!? 「はじめまして!はるなの母ですぅ!」 「ど、どうも…」 「この子、要領は悪いけど悪い子じゃ無いからね!ちゃんと見てあげてね!!」 「はぁ…ああ…」 九里がお母さんのテンションに押されている…!! 私は直ぐに九里の和服の襟元を掴み寄せ、 お母さんには聞こえないくらいの声で耳打ちをした。 「ちょっとどういう事よ!お母さんにバレてるじゃない!!」 「知らねぇよ…お前の家系、霊感強いんじゃねぇか?」 2人でヒソヒソ会話をしているとお母さんがまた別の何かに気づいた。 「その子…」 ギクリと背中に冷や汗が流れた。 母の視線は確実に九里の腕の中にいる悠助を捉えている。 私の部屋に 恋人と勘違いされてる九里と その九里が赤ちゃんを抱いている。 この状況をどうやって親に説明すればいいのか誰か最善策を教えて欲しい。 「えっとねお母さん、この子は…」 「分かってるわ」 お母さんが私の肩に手を置き優しく微笑んだ。 「あなたは昔から捨て猫とか捨て犬とかほっとけないタイプだものね。 思い出すわぁ…小学生の時に捨て犬飼いたいとせがんだ時の事…。」 「まさかお母さん…私が捨て子を拾ってきたとでも思ってんの…?」 「え、違うの?」 何にも分かってなかった!! 何その予想外みたいなきょとんとした顔?! 寧ろこっちがびっくりよ! 「この子は知り合いから預かってるだけ!」 「あら、そうだったのぉ」 そうだったのぉって… 普通に考えて人間の赤ちゃんが捨てられてたらおかしいでしょ?! 変な勘違いされなかったのはよかったけど… 「お前の母親、大丈夫か?」 九里がお母さんを異質な目で見てる…。 でもお母さんはいつそうなの…。 どこか抜けてるのよね…。
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