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「じゃあどうしてお父さんはそんな提案を…?」
種のリーダーを務める程の人物が、わざわざ敵に人質を送り込むようなことをさせるのだろうか…。
「俺にもよく分からねーよ。親父の考える事なんか…」
「九里も反対派…?」
「当然だ」
九里は自身の腕で眠る赤ちゃんに目を落とした。
「この赤子…姉貴の子なんだ。」
「お姉さんの?!」
「そんなに驚く事かよ…」
一体誰のだと思ってたんだよと九里は呆れたようにため息混じりに呟く。
そりゃあ勘違いだってするわよ!
でも今思えばこの九里も見た目私と同じくらいな年代だろうし…
子供なんてまだいないか…
「この赤子を連れて来た時の姉貴の顔が忘れられねぇんだ…」
俯く九里に比例するように頭についている狐の耳も前に折れた。
ちょっと可愛いと思ってしまった。
「…話聞いてるのか?」
「き、聞いてるよ!!
つまり、私にその赤ちゃんの世話をさせたいんでしょ?!」
思いっきり睨まれてちょっとびっくりした。
「でもごめんなさい。私人間の子供だって世話したこと無いのに妖怪の子供なんて無理!!
他を当たって下さい!」
「俺だってそうしたいのは山々だがこちらの姿が見えないやつに頼む事なんてできるはずねえだろうが。」
そうしたいって
そんなに私に不満あるのかよ!!
「とりあえず妖怪とか子育てとか、そんな訳の分からないこと私はやりませんから!他を当たって下さい!」
私がそう言い捨てて歩き出そうとした時だった。
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