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「まぁ待ちなさい。せっかく来たんだから、お茶くらい飲んでいくといい」
「正雪様、ここはお言葉に甘えましょう」
正辰に気を遣い、半兵衛も正雪に留まるよう申し出る。
「それに、菊もずっと君に会いたがっていたんだよ」
「ちょ、ちょっと父上!」
お菊は赤らむ頬を隠すように、両手で顔を覆った。
「何事もなくて良かったじゃねぇか。おっかねぇ顔して馬をとばしてたのは、どこのどいつだよ」
ははは、と笑う忠弥に鋭い視線を送ると、忠弥は目をそらして黙り込む。
「心配してくれたのかい。少々やりすぎたかな」
困ったように笑う正辰に、正雪はばつが悪そうに軽く頭を下げ、ご無事で何よりです、と呟いた。
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