12人が本棚に入れています
本棚に追加
(誰かが事を起こさない限り、この国は変わらん)
その一歩を踏み出すべきは自分達しかいないと、忠弥は強く信じていた。
ここ数ヶ月、張孔堂を訪ねてくる牢人の数が一層増しており、正雪はその全てを迎え入れている。
長い付き合いではあるが、忠弥は未だに正雪の真意を掴めないでいた。
(このまま何も為さずに終わる男ではないはず、いや、為さねばならん!)
「はぁ!」
勢いよく突き出された槍は、風を切り、目に見えない何かをしっかりと貫いた。
(将軍家光を、討つ!)
正雪が動かないならば、自分一人だけでも幕府に立ち向かう。
忠弥はその覚悟を、改めて自身の槍に誓った。
最初のコメントを投稿しよう!