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「左様か。まぁ、牢人共が束になろうと何も出来はしまい。そうは思わんか」
「全く、おっしゃる通りにございます」
そう言いながら、この場に忠弥がいたら大変なことになるな、などと考えていた。
かたや信綱は、腹をたてるどころか微笑さえも浮かべる正雪に顔をしかめている。
おそらく、成り上がりの若造め、とでも思っているのだろう。
(この男の真の目的は、自分を処罰することではない)
挑発と言わざるを得ない信綱の発言から、正雪はそう判断した。
また、信綱はこれ以上の対話は無意味であると判断したのか、最後に正雪に一瞥をくれるとその場に立ち上がった。
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