報せ

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「所用があるのでな。今日のところは、下がってよい。登城ご苦労であった」 「はっ」 もう終いか、と正雪は呆気にとられていた。 信綱が供の者を数人従え客間をあとにしようとしたその時 「ふん、戦の世の死にそびれなど今の世には無価値」 そう小さく呟いたのを正雪は聞き逃さなかった。 「待たれよ!」 先程までの彼からは想像もつかない程凄みのある声に、信綱は思わず足を止める。 「…何かな」 場の空気が張り詰める。 それまで頭を伏せていた正雪は、立ち上がって信綱と向かい合った。
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