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「老中ともあろうお方が、たかが牢人と一蹴なさるのは、いかがなものか」
「無礼者!」
「身をわきまえろ!」
側近の者に一斉に刀を向けられるが、正雪の目はただ真っすぐに信綱を見据えている。
「何が言いたい」
「たとえ世から見放されようとも、武士は武士。武士(もののふ)の意地を軽んじられては、痛い目にあいまする」
「口を慎め!」
今にも斬りかかろうとする側近を、信綱は手で制す。
「由井殿。それがおぬしの本音であるか」
信綱の問い掛けには応えず、正雪はただ不適に笑ってみせた。
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