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正雪は何も答えることができなかった。
日ノ本は今、数々の家が減封・改易され数多の牢人で溢れ返っている。
忠弥もその例外ではなかった。
彼はもともと長曽我部家の者だが、先の戦・関ヶ原の戦い及び大坂の陣で豊臣方についたがために、長曽我部の直系は皆斬首。
事実上、家は潰えてしまった。
このようなケースは珍しくない。
「関ヶ原以来、多くの家が潰されちまった…。盗賊や追剥に成り下がった武士も数えきれねぇ。こんな簡単に武士の誇りを踏みにじられて、黙って見てられるかよ!」
忠弥は固く拳を握る。
普段明るく振る舞っているだけに、そんな彼を見るのは痛々しかった。
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