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正雪は考え込むように男達を見渡すと、その中の一人に声をかけた。
「おぬし、名はなんと申す」
「え、あ、私ですか。奥村八左衛門と申します」
「ふむ、そうか」
それだけ言うと、正雪は馬から降りて門をくぐろうとする。
「あの、正雪殿!」
「ここで暮らすならば、しっかりと働くことじゃ」
この言葉に、牢人達は顔を見合わせて喜んだ。
「は、はい!ありがとうございます!」
男達の歓声を背に、正雪が部屋に入ると忠弥が駆け寄って来た。
「おい、なんで一人で行ったんだよ!」
「おぬしがおると、話が進まん。口より先に手が出るじゃろう」
「半兵衛ぐらい連れて行けよ」
「あやつもまだまだ未熟じゃ。ああ言われては、黙ってはおるまい」
「なんて言われた?」
「さあのぅ。聞かん方がいいじゃろう」
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