何度でも

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「……でカエルが逃げ出したら、お母さんがグニャって」     「そうそう、あったあった」     僕たちは、最近できたばかりだというチェーン店のカフェに入り、昔話に花を咲かせていた。         彼女と向かい合うように座った僕は、久しぶりに会った幼なじみの観察を始めていた。     形の良い輪郭に、アーモンド型の目。すっと通った鼻筋に、ぷっくりと膨らんだやや小振りな唇。     彼女と会っていなかった間に、僕の記憶の中に未だに残っていた少女のイメージから、一人の女性に成長していた。     昔と比べると、全体的に女の子特有のふっくらとした感じが、とれた気がする。     そういったことも含めて、全体的に大人っぽい印象を伺わせた。         「ねぇ。帰ってきたってことは、こっちに就職したの」     カプチーノの泡を付けたまま、彼女は僕に尋ねてきた。     「ああ。今度、二小の教員になったから戻ってきたんだ」     僕は何気なく言ったつもりだったが、思ったよりも彼女は食いついてきた。     「二小って、私たちが通ってた」     「そうだよ。あの二小」     それだけ伝えると、彼女は急に身を乗り出し、訪ねてきた。     「何年生の担当なの」     「い……一年生」     すると彼女は満面の笑みを浮かべながら、自分の背もたれにようやく腰を戻した。
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