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突如爆発音が鳴り響いた。それは車の中にいる僕にも十分に聞き取れた。ていうかうるさかった。
突然のことに驚いた僕はシートに預けていた体を高速で起こす。似たような行動を三人もしていた。運転手さんの方からは足をぶつけた音が聞こえた。
急いで思考を巡らし冷静になれと自分自身に言い聞かせる。これが少し冷静になった頭はこれが合図ではないのかと導き出した。現に下級戦闘員の何人かは姿を表して暴れている。
爆発音と悪の組織の登場に町はパニックになっていく有り様を車内で観察する僕。数秒間そのままでいたがこのままではいけないことに気付く。
一緒に乗っている人達に車から出よう、と呼び掛けようとする。というより呼び掛けた。しかし返事がないので不信に思い、首を右回転で動かしてみる。
……誰もいなかった。
よくよく見てみると最初に暴れていたのは僕と同じ車にいた人達だった(背格好や帯剣という武器を携帯する為の入れ物の位置で推測)。
仕事に忠実なのはいいけど一言声を掛けてほしかった。仲間外れにされた所為で僕の心は重症。少しだけど涙さえ出てきた。仮面で見えなくて良かった。そもそも外から見られる心配はない。
運転手がいなくなったこの車をどうするのかという疑問を持ちつつ僕も作戦に参加すべく車のドアを開けた。
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