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地獄絵図。ドアを開けて思った感想、つまりは第一印象。これが現状を表すに適した表現。いや、流石にそれは大袈裟な反応か。精々下級戦闘員が暴れて物を壊したり一般市民が悲鳴を上げながら逃げ惑う姿ぐらいしか見当たらない。
……考えようによっては十分地獄絵図に成りうるな。なんてつまらないことを考える余裕が僕にはあった。
みんな好き勝手に暴れている最中(さなか)、僕は他人事のように車の近くに立っていた。いまいちやる気が出てこないのだ。このまま終わってほしいと切に願う。
それでも私情抜きでしなければいけないという使命感も持ち合わせているので僕なりに検討してみた。
――――――サボろう。
頭の中で行われた疑似会議の結果、圧倒的多数で前者の勝利。やっぱりなんだかんだで面倒くさい。どうせ僕一人がいなくても誰も気付かない。……あれ?目から水が……
しかしここにいたら無理矢理にでもやらされる可能性がある。そういえばここに来る途中公園があったな。多分ここから距離が離れていないし歩きでも行ける。
そこでしばらく身を潜めていよう。よし、善は急げ。公園へ出発。
仲間の方向とは逆に歩くが堂々していれば案外バレないものだ。一般市民はもう逃げていないだろうし偶然見付かるなんてことない。気楽に行ける。
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