それでも僕らは進んでく

始まりの兆し

六光貴とは、国王の次に権力をもつ貴族の総称である。

その名の通り、６つの貴族があり、それぞれ、国を治める国王を支える大切な役割を担っている。

そんな六光貴がひとつ、スホーク家当主の息子と言うのだから、リューは国の中でもかなり位の高い身分の人間である。

とはいえ、今はそんなことはどうでもいい。

問題は、かのスホーク家の当主、ダリという人物がどういった人柄なのか、だ。

（前回帰ったのが確か半年くらい前だったろ…？近い内に帰らねぇととは思っていたけど…）

実は今、リューは実家であるスホーク家では暮らしていない。

それには訳があるわけなのだが、実家に帰れない理由があるわけではない。

定期的に実家に顔を出すように、とも言われている。

しかし…。帰った時のダリの反応を想像すると帰りたくない気持ちが勝り、ズルズルと引き延ばしている内に半年が経ってしまっていたのだ。

これはいよいよヤバい領域である。

帰っていない期間が長すぎる。

（覚悟もない内にあいつのとこに行くなんて、無理！！）

故に、ギルドマスターに強制的に転移させられるよりも、面倒くさい報告書を書くことを選んだのである。