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「……私の部屋の隣は…」
手始めに一番近い部屋から探索を開始する。
慣れた様子でドアノブを捻ると、中に入って辺りを見回す。
「…なんの資料だ、これは…」
部屋の奥の方にある机には数多の紙が乱雑に置かれていた。
「…下級悪魔について…か…。」
どうやら悪魔についての資料らしい。
所々線が引いてあったり、丸が付けられている。
「ん…第38回最終テスト…?」
引っ張り出し、見てみると…満点だ。
銀夜は自分の目を疑った。
「…信じられん…」
そして、仕事部屋の探索を終了した銀夜は次の部屋に移ることにした。
「…向かいの部屋は…っと…」
ドアノブを捻り中へ入ると、辺り一面本で埋め尽くされている。
ざっと見て回ったが、題名的には全て悪魔に関するもののようだ。
「…次行くか…」
図書室を後にして、その隣の部屋に入った。
しかし、またしても悪魔に関する物ばかりだ。
「…ん…?」
ふと、一冊の本に目が止まる。
背表紙は血の色を思わせる赤だ。
目を凝らして題名を見ると…
「いけませんよ、銀夜くん」
「っ…!?」
「探検ごっこはそこまでです。」
余程集中していたのだろうか、ミカエリスの足音どころか気配すら感じ取れなかった。
咎めるミカエリスの声は優しいものであったが、目はまったく笑っていない、絶対零度の眼差しだ。
「す、すまん…」
「さぁ、こちらへ…」
大人しく指示に従い、部屋を出る。
ドアを閉め、振り返ったミカエリスと目が合ったが、いつもの優しい眼差しに戻っていた。
「……なぁ…。」
「はい?」
「…あの本…っ…!?」
突然、ナイフが銀夜の足下に突き刺さった。
ミカエリスは無表情で銀夜を見下ろしている。
「その言葉を発してはいけません。」
「…何故…」
「…奴等は聞いているのです。」
「…ミカエリス?」
「……いけませんからね。」
「…うむ。」
「いい子ですね。……私はディナーの用意をせねばなりませんので…」
「あ、あぁ。」
ミカエリスは銀夜を笑顔で一撫でし、一階へと姿を消した。
残された銀夜は言い様のない恐怖感に襲われ、一先ずジャックの部屋に戻った。
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