第三節

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「……私の部屋の隣は…」 手始めに一番近い部屋から探索を開始する。 慣れた様子でドアノブを捻ると、中に入って辺りを見回す。 「…なんの資料だ、これは…」 部屋の奥の方にある机には数多の紙が乱雑に置かれていた。 「…下級悪魔について…か…。」 どうやら悪魔についての資料らしい。 所々線が引いてあったり、丸が付けられている。 「ん…第38回最終テスト…?」 引っ張り出し、見てみると…満点だ。 銀夜は自分の目を疑った。 「…信じられん…」 そして、仕事部屋の探索を終了した銀夜は次の部屋に移ることにした。 「…向かいの部屋は…っと…」 ドアノブを捻り中へ入ると、辺り一面本で埋め尽くされている。 ざっと見て回ったが、題名的には全て悪魔に関するもののようだ。 「…次行くか…」 図書室を後にして、その隣の部屋に入った。 しかし、またしても悪魔に関する物ばかりだ。 「…ん…?」 ふと、一冊の本に目が止まる。 背表紙は血の色を思わせる赤だ。 目を凝らして題名を見ると… 「いけませんよ、銀夜くん」 「っ…!?」 「探検ごっこはそこまでです。」 余程集中していたのだろうか、ミカエリスの足音どころか気配すら感じ取れなかった。 咎めるミカエリスの声は優しいものであったが、目はまったく笑っていない、絶対零度の眼差しだ。 「す、すまん…」 「さぁ、こちらへ…」 大人しく指示に従い、部屋を出る。 ドアを閉め、振り返ったミカエリスと目が合ったが、いつもの優しい眼差しに戻っていた。 「……なぁ…。」 「はい?」 「…あの本…っ…!?」 突然、ナイフが銀夜の足下に突き刺さった。 ミカエリスは無表情で銀夜を見下ろしている。 「その言葉を発してはいけません。」 「…何故…」 「…奴等は聞いているのです。」 「…ミカエリス?」 「……いけませんからね。」 「…うむ。」 「いい子ですね。……私はディナーの用意をせねばなりませんので…」 「あ、あぁ。」 ミカエリスは銀夜を笑顔で一撫でし、一階へと姿を消した。 残された銀夜は言い様のない恐怖感に襲われ、一先ずジャックの部屋に戻った。
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