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‐30分後‐
「…終わった。」
「嘘だろ!?」
半分の半分とはいえ凄い量なのだが、書き慣れているレイラは30分という驚異的な早さで作業を終えた。
しかも、内容も適当ではなくいつも通りきちんとした文章だ。
ジョンは後半分程度で終わるだろう。
何をどうしたらあの量を半分まで減らせるのだろうか。
因みに、ジャックはまだゴールには程遠い。
「…あと一時間で仕上げて提出するのよ」
「お、おう…」
「…もう少し手伝ってあげたいけど本当に時間ギリギリなの…」
「いや、大丈夫だ、ありがとな!」
「頑張ってね。」
レイラは席を立ち、出口へと走って行った。
あの様子からすると本当にギリギリまで手伝ってくれていたのだろう。
なんだか、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「そう思うなら彼女の努力を無駄にしないことだな。」
「勝手に心読むな。プライバシーの侵害で訴えるぞ」
暫く待っても返答が帰ってくることは無く、報告書に集中せざるを得なくなった。
「…家帰りたい…」
しかし、10分後にはその集中力も途切れ、ペンを回し始める。
「…お前なぁ…」
「………ミカエリスが居ればなぁ…。」
「え、誰?」
「んー…執事、かな。何でも出来る凄い奴だよ。」
「へぇー…」
「なんで顔ニヤけてんの。」
「いや。お前その執事のこと好きだろ?」
「うん。」
「うわ、即答かよ!」
「まぁ、家族みたいなもんだし…当然だろ。」
「へ、へぇ」
「……手、止まってるぞ」
「…っ!?」
気付けばジャックは報告書を書き終えていた。
こちらの方があんなにリードしていたハズなのだが……聞き入ってる間にすっかり抜かされてしまったようだ。
そして、勝ち誇ったような笑みを浮かべながら残酷な事実を告げた。
「おい、あと30分しかないぞ」
「やべぇ…!!」
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