冷たい空気と冬の匂いと朝焼けの海

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『就職どうだった?』 『受かってた』 『マジ?良く持ち直したね』 『履歴書超キレーく書いた』 『へぇ・・・そんなんで受かるもんなのかな』 『・・・本当は』 『ん?』 『今年の春から、お前とプラトニックやり直したこと面接で言ったからだと思う』 『わ・・・ありえんっしょ。そんなんどのタイミングで言うんだし』 『履歴書の自己アピールのとこで匂わせといたら案の定聞かれた』 『策士だね』 『だろ』 『そういうお前はどうだったんだよ』 『あー、特待生は落ちたけど普通に受かった。まあ専門だし当たり前だね』 『・・・だなぁ』 『否定しろよ』 『出来ねぇ。・・・なんか歌ってくんね?』 『歌?』 『朝焼けと橙の海がすっげぇ綺麗。このお前といる時のゆっくり流れる時間も気持ち良い』 『いや聞いてねぇし』 『だからなんか・・・ここでお前が歌えば最高の思い出になる気がする』 『・・・分かった。何がいい?』 『あー・・・ん』 『は?』 『奥華子の夕立。次は真っ赤な空を見ただろうかで・・・』 『一曲ずつ!』
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