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明美は おれの学年の中でも
アイドルのようにズバ抜けて可愛いと評判があり
また 勉強もスポーツもソツなくこなし
いわゆる才色兼備の持ち主と言っても
過言ではないくらいだった
そのため 彼女の周りには常に
人が集まっており
女子からも人気があったが
男子からの人気も高かった
今で言う リア充というやつだ
一方 おれはというと
女子から話しかけられることなんて
月に1回あるかないかくらい存在が薄かったし
積極的にアプローチすることもなかった
放置プレイが趣味であれば
泣いて喜べる状況なのだが
生憎 そんな趣味はない
以上のような状況下でも 唯一 明美は
分け隔てなく おれにも接してくれた
そのときの明美の笑顔が
聖母マリア様のように神々しく見えた
そんな明美に おれは だんだんと惹かれていった
だけど、おれのキモチを伝えたところで
こんな自分に振り向いてくれるだろうか?
……あるじゃないか
唯一 おれが輝けるチャンスが
それは 年に一回 開催される
学芸会というクラス単位で行われる演劇の発表会
一年目のときも二年目のときも
おれは ほぼメインキャラの役を務め
周りから意外な才能だと
比較的高い評価を得ていた
そして三年目の演劇が
「オペラ座の怪人」に決まったときのこと
クリスティーヌ役を明美がやることに決まった瞬間に
おれは とっさにエリック役を立候補し
見事 明美と共演する場面の多い役を
勝ち取ることができたのだ
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