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- プロローグ -
少年の生まれ育った祖国で
かつて「レフトサイド」と呼ばれる武装集団が
大学に立てこもる事件が発生した
彼らは 立てこもっている学校の生徒で結成されており
破壊活動を行うことにより国への不満を主張していた
その活動は他の大学にも飛び火し
便乗して傍若無人な振る舞いをする者達も現れ始めた
通称「レフトサイダー」と呼ばれる彼らの暴挙は次第にエスカレートし始め
ついには 警官や軍隊までもが動員されるほどの事態に発展し
死者も多数出してしまう大惨事となった
国内は一時 騒然となったが
彼らの多くは捕縛 ないし その場で射殺され
事件は収束したかのように見えた
だが 逃げ延びて潜伏している者たちが
何食わぬ顔で生活の中に溶け込み
再起を図ろうと企てていたのだった
少年の通う小学校の教員達は
あからさまに レフトサイダーが寄り集まった学校だった
国王が崩御された日も
全校集会で知らせはあったものの
国旗を掲げないというくらい
国に嫌悪感を持つ教師ばかりだった
我が国が過去に諸外国と戦争をしていたことを引き合いに
どれだけ罪深い行いをしてきたかを
児童たちに刷り込み続けていた
小学校も6年目になると
修学旅行という一大イベントがあるわけだが
行き先は毎年決まっていた
戦時中に核爆弾により多くの犠牲者を出し
今現在もなお戦争の爪痕の残る地にて
この悲惨な出来事は国の責任だと強調し
働き口を探すために我が国に滞在していた某国の犠牲者の慰霊碑が
別の場所に設置されていることに対しても
人種差別するような酷い国なんだと ひとしきり洗脳した後
宿泊先の島に向かうコースが恒例になっていた
船に揺られること数分の距離に位置するその島は
ウサギ愛好家の間では野ウサギたちが
多く生息しているスポットであることが知られ
豊富な自然に囲まれたのどかなリゾート地だ
しかしかつて この島は 戦時中に
毒ガス兵器の製造拠点となっており
敵兵の襲撃を回避するため
地図から消されていた島だった
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