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残ったふたりは六丞とは反対方向へ足を向けた。
街灯とネオンが照らし、人通りも多く、決して静かではない道にふたりで並ぶ。
「…うさぎ、あげると思った?」
「えっ! えっと…まあ、うん」
観念したように小さく頷く荊の姿を、紫妃は面白そうにくすくすと笑う。
「本当に面白い反応するよね、キミ。飽きないよ」
以前、下校中にたまたま寄ったゲームセンター。
それはUFOキャッチャーの中でごっちゃりと重なっていた。
UFOキャッチャーに真剣な顔を向ける荊は既に千円ほどを注ぎ込んでいて、そこまでこれが欲しいのかと他人事で見ていた紫妃は、やっと取れたそれを嬉々として差し出されたのだった。
自分の私服に似たロリータ服のうさぎ。
思わず笑ってしまったのを覚えている。
「…このうさぎは結構気に入ってるの。そう簡単にはあげない」
そう言って笑う紫妃に、気に入ってくれていたのかと驚いた荊の足取りがそろりと鈍くなる。
荊が隣から居なくなったことに気付いた紫妃は後ろを振り向くと、紫がかった瞳をゆるりと細めた。
「…ほら、荊くん。置いていくよ」
「あっ、すぐ行く!」
「明日も勉強会?」
「明日は家でやろうかと思ってて」
「そう、留年だけはしないでね。僕のノートを無駄にしたら本気の鞭打ち」
「ちょっ、そこまで酷くないって!」
「ふふっ、知ってるよ」
再び隣に並んだふたりは、まったりとした足取りで喧騒の中を進んで行く。
ひとつ残ったうさぎがころころと鞄で揺れていた。
――――――――
勉強会話に見せ掛けていつの間にかリア充爆発しろ話になってました_(:3」∠)_
お前ら爆発しろ_(:3」∠)_
口調が酷く誰おま状態で悔しいので容赦無く訂正してください。無理するんじゃなかった…_(:3」∠)_
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