1.上陸

6/11
前へ
/33ページ
次へ
「急げ!ここはまだ大丈夫だ!」 俺の叫びはどこまで届いているかはわからない。 銃声に爆音にと騒がしい事この上ない。 最終的に到着できたのは一人だった。 見知った顔に少し安堵する。 「石動、無事に着いたな」 声を掛けるが、石動に返事は無い。 声を出そうとするが、歯がガチガチ鳴ってて声になっていない。 石動の鉄帽をバシバシ叩いて、落ち着かせる。 さて、完全に安全とは言えないが、それなりに安全な今居る場所から更に移動するには、かなりの勇気が必要だった。 「石動!動きたくない気持ちも判るが、移動だ!あそこの塹壕まで走るぞ!」 石動は怯えた眼を俺に向けるが、これも作戦だ。 俺の気持ちとは関係なく動いていく。 石動の鉄帽を再度叩くと、石動も覚悟を決めたようだ。 歯は相変わらずガチガチ鳴っているが、頷いた。 「行くぞ!」 そう叫んで俺と石動は走り出した。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加