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「急げ!ここはまだ大丈夫だ!」
俺の叫びはどこまで届いているかはわからない。
銃声に爆音にと騒がしい事この上ない。
最終的に到着できたのは一人だった。
見知った顔に少し安堵する。
「石動、無事に着いたな」
声を掛けるが、石動に返事は無い。
声を出そうとするが、歯がガチガチ鳴ってて声になっていない。
石動の鉄帽をバシバシ叩いて、落ち着かせる。
さて、完全に安全とは言えないが、それなりに安全な今居る場所から更に移動するには、かなりの勇気が必要だった。
「石動!動きたくない気持ちも判るが、移動だ!あそこの塹壕まで走るぞ!」
石動は怯えた眼を俺に向けるが、これも作戦だ。
俺の気持ちとは関係なく動いていく。
石動の鉄帽を再度叩くと、石動も覚悟を決めたようだ。
歯は相変わらずガチガチ鳴っているが、頷いた。
「行くぞ!」
そう叫んで俺と石動は走り出した。
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