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走り出して数秒後、迫撃砲弾の飛翔音が聞こえた。
今のこの場所では珍しくは無いが、つい音源を眼で追ってしまう。
着弾点には閃光と轟音と爆風をプレゼントされていた。
さっきまで居た土嚢は既に原型を留めていない。
「拾った!」
そう叫びながら、拾った命の運の良さに感激しつつ走り続けた。
塹壕に飛び込んだ時、二人は奇跡的に無傷だった。
この塹壕が、部隊の合流場所だ。
塹壕内を見回すと、石井小隊長が見える。
「小隊長!到着しました」
切れ切れの息を整えながら発した言葉は、カラカラに干上がった喉では、擦れ擦れの言葉になっていた。
石井は石動を見つけると、石動の背負った通信機を手に取る。
「第125小隊より航空支援要請!ポイントα1からα3までの範囲に爆撃を要請。こう煩いと思うように動けない。何とかしてくれ」
そう叫ぶと、少しの間通信機とのやり取りをし、通信機を置いた。
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