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「人は普通であることを嫌うよね。普通であることは素晴らしいことなのに」
「まあな。大抵の奴はナンバーワン、もしくはオンリーワンでありたがる。そのくせ孤独は嫌うってんだから矛盾してるよな」
「ボクからすれば特別なんてものはどこにでもあるんだよ。朝が来て、夜が来る。それだけで十分特別で不思議で神秘的さ」
「感性が麻痺しちまったんだろ。当たり前のように起こる出来事は『日常』になる。日常は不変で普遍でつまらない、そう思うようになるからな」
「普通って普く通ずるって書くんだよね。広く行き渡ること、つまり普通であれば他者に受け入れられやすい。普通でないことは異端なのさ。異端は時に蔑まれる」
「前にお前はオレの感性が偏ってるって言ったな?オレが、世界は痛いだけだって言った時だ。だけどな、オレの感性こそ普通なんだよ。この世界は人が普通を嫌った結果として歪んだ。つまり偏ってるのは世界のほうなのさ」
「屁理屈だね」
「馬鹿言え。結局何が言いたいかって、遍しも偏りも全ては人次第ってことだ」
「上手いことを言うじゃないか。人という字が入るか否かで『遍』にも『偏』にもなる、という訳だね」
「恥ずかしいから解説すんなよ……」
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