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「なあ、『好き』ってどういうことだろうな」
「…………」
「おい、聞いてんのか?」
「……え?」
「だから、『好き』って……」
「それは聞いたよ」
「じゃあ答えろよ」
「それはつまり……男女間の『好き』?」
「そうだ」
「……明日は隕石でも降るのかな?」
「どういう意味だ」
「まさか君に、よりによって君に恋心が芽生えるなんて……天変地異の前触れとしか思えないよ」
「随分な物言いだが、オレじゃないぞ。オレの友達の話だ」
「まさか君に友人という存在がいるなんて……」
「流石にキレるぞ」
「ごめんごめん。ボクという友人がいたよね」
「お前なんぞ友達じゃねえ」
「で、話を戻すけど、『好き』とはどういうことか、だったね」
「ああ。相談を受けたんだが、察しの通りオレは色恋沙汰に疎いからな」
「じゃあちょっと二人でシミュレーションしてみようか。君が男役ね」
「ふざけんな。何でお前とそんなことしなきゃなんねえんだよ」
「相談を持ちかけられたのは君だろう?その友人のために一肌脱ごうとは思わないのかい?」
「ぐ……」
「ほらほら、ボクに愛を囁いてごらん?」
「ちっ……しょうがねえ……」
「ボクはいつでもいいよ」
「す、好きだ!」
「…………おおう」
「な、何だよ」
「いや、不意に抱き締められて耳元でストレートに告白されたから、思わずキュンとしてしまったよ。いやはや、別に『抱き締めろ』とは言っていないのだけれどね」
「ド、ドラマじゃあよくやってるだろ!」
「ドラマの知識か。いや、悪くなかったよ。なかなかやるじゃないか。次はボクの番だね」
「別にいいって。こんなの意味ねえじゃねえか」
「隙あり!」
「ちょ、抱きついてくん……」
「好きだよ」
「……っ」
「大好き。愛してるよ」
「うあ……」
「恥じらう君も可愛いね」
「や、やめ……」
「愛しくて食べてしまいたいほどだよ。ちゅ」
「……っ!」
「おや、一際赤くなって……」
「やめろっつってんだろうが!」
「おっと、突き飛ばさなくてもいいじゃないか」
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