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「(どこやねん、ここ)」
心のなかで呟いた。
ナーシャが足をつけたのは、草原から数メートル先にある深い樹海だった。
「姿を現して頂けませんか?私、客人をお待たせしているので」
太い樹木の枝に立っているのは、緑色の醜悪な鬼。
「(……グリーンオーガ?妙ですね、この辺りには生息していないはずですが。……それよりも、グリーンオーガだけというのも気になりますね。彼らに魔法を扱う技術はないはず……)」
ナーシャが思考を巡らせているうちに、緑色の鬼――グリーンオーガは、ナーシャを囲むように増え続ける。
「(……とりあえず、この場を片しましょう)
引く気はないととって宜しいんですね?」
グリーンオーガは右手に己と同じ程の金棒を構え、ナーシャに向かった。
「……かしこまりました」
ナーシャは、ガーターベルトからまた別の棒を取り出す。
「面倒なので、詠唱は無視させて頂きます」
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