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ナーシャが棒を地面をなぞるようにグリーンオーガに向けると、そこにいた3体のグリーンオーガが沈んだ。
「……ドボル」
「ライチェ」
「ボーマ」
「ドライトス」
あるグリーンオーガは地に沈み、あるものは光に焼かれ、またあるものは炎に身を包み、地面から生えた槍に貫かれたグリーンオーガもいる。
時間にして十五分程度。周りには、赤く血染められたグリーンオーガの亡骸があちこちに横たわっていた。残るグリーンオーガは、最早リーダー格と思われる一匹のみ。
「さて、あらかた片付きました。
……出来るのならば、ここは退いてほしいのですが」
グリーンオーガは答えない。ただナーシャを視界に捉え、距離を測る。
「……ノーと受け捉えさせて頂きます」
ナーシャは、まるで楽団の指揮者の様に腕から指を動かす。
グリーンオーガが、地を蹴る。それはまるで、小型ミサイルのような速さでナーシャの眼前まで到達し、その豪腕を振り上げ―――、下ろされる事なく、倒れ伏した。
消失しなかった、右半身のみが。
「こんなものですか……。やはり、詠唱を無視すると扱いが難しいですね」
「……これで終わりだと、思うなよ」
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