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「吉野さん、今にも雨が降りそうですよ。帰り道お気をつけて。お大事になさってくださいね」
「いつもありがとうよ。早く帰んなきゃおじいさんがうるさいからさ、帰るわぁ」
また一か月くらいしたら来るからねぇ、とにこやかな挨拶を残して吉野さんは帰って行った。
吉野さんで今日の営業は終わりになる。手元にあった数十枚の処方箋を軽くまとめて一時しのぎにファイルに入れると営業の掛札を外してシャッターを閉めた。
店内を無人にする際はさらにレーザーにも耐えうる素材の格子を引き下ろす。店内のガラスはすべて防弾ガラスだ。
関東に位置する都市圏だが、 経済特区でもない高級住宅街に位置するこの小さな調剤薬局でも必要な閉店作業だ。
「智美ちゃんさ、そういえば森下さんにデート誘われたんだって?」
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