堀下智美という女

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「誰から聞いたんですかぁ?ふふ」 「本人からよ。勇気出してデートに誘ったけどダメだったってしょげてたんだから」 からからと笑う彼女の声はさっぱりしていて、なんだか海みたいだ。寄せては返す波の声のような。 「うーん、相手がどうとかよりもいまは男性とおつきあいすること考えてないですよ。良い人だとは思うんですけど」 「智美さんなら良い人なんてすぐ見つかるしね」 茶目っ気のある黒目がちな眼を光らせて指でちょんと私の肩をつつくと、パーマをあてた髪がふわりと揺れた。
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