神宵

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 カッ!と光が夜の闇を裂いて、光のみが建物の存在を崩していく。 「…デタラメだな」 青年は、冷静に小さくその言葉を放つ。 空から舞い降る小さな白い奇跡。 可愛らしい赤子の姿に真っ白な眼球で、不気味に笑う白い羽の天使。 「お迎えに来る天使がえげつなくないか?」 そうさらに続けると、彼は一目散にその場を飛び出した。 天使がその場に降り立つと、笑いながら光り…「カッ!」と、光のみの世界がその場所を消した。 その場を飛び出したにも関わらず、余波は円を描いて青年を直撃。 おおよそ五メートルは軽く吹き飛ばした。 「可愛くねぇーよ!」 精一杯の言葉の反撃と共に、転がりながらも勢いは消えず、二転三転もんどりうって、背中を地面に強く打ちつけた。 「我が名はガブリエール」 背中を打って空を眺める彼の目の前には美しい女性の躯で仁王立ちした、古くさい男言葉を高い声で吐く自称「セラフ」が立っていた。 「どうだ、私の子は可愛かろう?」 「だ~か~ら、可愛くねぇーよ!」 そう言うと彼は「てて…」とふらつきながらも立ち上がり、目の前の天使を睨み返す。 「仕方あるまいなぁ  それではどうしても仕方なく、弱き人間を斬るしかあるまい」 「意味が分からないが…」 「神様も赦してくれるだろう  仕方無い事だからな」 「頭イってんのか、あんた?」 冷静に突っ込む彼とは別にガブリエールは、ものすごく分厚い剣だか斧だか分からない物体を上段に構える。 青年がそれを見て、軽く後ろの様子を探ると、すでに天使に囲まれていた。 逃げることなど到底不可能な状態であるのは明白。 「だから俺は普通の人間だってーの!」 その言葉を放たれる瞬間に、天使と剣は青年を襲った。
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