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仲間を見届けると、
俺は手に持っていた起動ボタンをコスティにわかるよう示しながら言った。
「これを押せば、お前のリヴィーベレは木っ端微塵になる。」
相手の様子をうかがったのだが、コスティは表情一つ変えなかった。
まぁ、相手がどんな反応を見せようと、知った事ではない。
どうせ壊さなければならないのだ。
俺は続けた。
「壊す前に、お前に聞きたい事がある。
…なぜ、皆を…、アイツを、ここに閉じ込めた?」
問いは短かったが、相手には伝わったようだ。
コスティは薄ら笑いを浮かべた。
「閉じ込めた?
そんなつもりはない。
ただ、君が出て行ってしまったから、変わりの者を選んでやったまでだ。
彼らも喜んでいたぞ?」
「ふざけるな!
ただの見せつけのために利用しやがって…。
ここがこの世界で最も不要だということは、お前だって分かっているはずだ。」
俺の言葉に対し、
コスティは声に出して笑い出した。
「はは…、不要?
そんなはずはないだろう?
リヴィーベレは各種族との交流を考える第一歩となったではないか。」
目の前の笑みを消さない男を見て、胸の奥から怒りがこみ上げてきた。
しかし、それを相手に見せてはいけないと、心のどこかでは思っていたのだろう。
俺は鼻で笑った。
「それが、何故皆に受け入れられないのだろうな。
答えは簡単だ。
だが、お前にはそれが分からないまま死んでもらいたい。」
起動ボタンを持った手に力を込める。
覚悟は出来ていた。
コスティも、少し不思議そうな顔をするだけだ。
相手が驚いていないのをみて、少し悔しい思いがかすめるが、気にしない。
コスティは口を開いた。
「私は最後まで自分が間違った事をしたとは思わんぞ。最後までな。
君はせいぜい、正義を語っているといい。
世間からみれば、
君らティーバは、立派な犯罪者だ。」
「スタンだけに罪をきせるわけにはいかない。
俺が、すべて被ってみせる。」
――じゃあな、ティーバ。
――すまない、スタン。
躊躇いなど、これっぽっちもなかった。
最後に感じたのは、
言いようもない安心感だった。
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