-語り-

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-語り-

さぁさぁ 皆さんお立ち会い 深い暗い森のなか ひっそりと 始まりますよ 何が始まるのかは その“瞳”で確かめて 知りたい奴だけ寄ってきな 聞きたい奴だけ寄ってきな 見える奴だけ入っておいで わかる奴だけ入っておいで 深い深い森のなか “貴方”だけの見世物が “貴方”がなる見世物が 始まりますよ…… 『It's show time.』 『The show is your memory.』 見渡す限り 真っ白な部屋 誰も居なくて 誰の気配もない そこに 一人 白い服を着て佇んでいた したいこと すべきこと そんなもの 何もない これが自由? それならこんなの望まない これじゃ 何も出来ない 一人は もう疲れたよ 目をつむり 外界を忘れ 今を 否定する 意味のないこと そんなのわかってる でも 目を開けるのが 怖い 見渡す限り 青い空 雲が流れ 風が吹く そこで 一人 白い羽根で浮かんでいた 翼を動かし ただ浮く これでいいのだろうか これは何? 何をすればいいの 誰か教えて あれ?“誰か”って何? “私”って何? 存在が消えた 自分を示す手立ても消えた ここから 出して 昔を 返して あ……れ? 出口は? さっき…まで 居たのは なんて言うの? 何を 知れたの? これ以上は 今は お見せできません 見たいなら それ相応の 覚悟を 貴方なら …ね? “今”の貴方には これだけ これは 貴方であって 貴方じゃない このことが わかったら またここにこれますよ それでは しばし 別れを惜しみましょう 目をつむり 深呼吸を そうすれば 貴方は ・・・
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