-ハールバルズ-

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渡し守 死者を渡す彼も もとは一人の人間だった 今は 死者を渡し届ける 渡し守 知る顔もあるが 正体をバラせない 例え 昔の恋人でも 想い人でも 彼からは バラせない 大きなローブで顔を 隠し 櫂を漕ぐ 舟唄を 死者に最後の音を そんな彼の唄で 彼に気付いた 少女が 少女は 彼の唄に合わせ唄い出した 彼の唄を 彼が作った唄を 二人は 気付いたが 互いに言えなかった 言わなくても 互いが誰なのか わかっているから 彼はそれからも 同じ唄を 唄い続けた
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