-湖畔-

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-湖畔-

深い 深い 森の中に ひっそり暮らすのは 一人の娘 昼間は起きる森の中 娘は眠り 夜中は眠る森の中 娘は起きる 森の樹に触れ 月夜の中歩く 木の実を探し 罠を仕掛ける 月夜に照らされる 白き肌は美しく 月夜に煌めく 瞳は紅く 真っ白な髪を風になびかせ 一人歩く 村人は 彼女を知らない 彼女も 村人を知らない 森の中 倒れる男がいた 誰にも気付かれず 倒れていた そんな男を見つけるは 白き娘 初めての “人”に戸惑いながらも 手当てをする 月に照らされ 湖の畔 傷を癒す白き娘 その姿は ローブで隠し 手当てする 男は気付き 目を開けた 目の前の 娘に驚いた 娘は 静かに微笑み 薬を渡し 立ち去った その後 村ではその娘が 捜された 国からの 伝達に 『白き娘を城へ』 と 書かれたから 白き娘は 今宵も 歩く 一人で歩く 紅い瞳を輝かせ 月の下 想いを寄せて 湖を 見知らぬ人に 逢うために 湖へ 再会を夢見て 今宵も
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