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『おい、目を醒ませよ。』
やだよ、まだ僕は寝てるんだから。
『暇なんだよな、喋ろうぜ!』
だから僕は今寝てるんだってば。
明日はテストなんだからね?
『そんなの俺が教えてやるよ、いつものことだろ?』
やだよ、それってカンニングに…
てかもういいでしょ。
僕だって日常があるんだよ。今を大切にしなきゃ。
『………』
…………。
『あかねちゃんと勉強するのが目的だもんな。』
僕「違うよ!!」
『お、起きた。』
僕「もう!………しょうがないな…一時間喋ったら帰ってよね。」
部屋で一人、ブツブツと喋っているこんな僕を誰かが見たらどんな反応をするだろう。
僕は人と違うとこがある。それは些細ななんてことのない大きな違いが。
パラレルワールド、と言えばいいのかな。
そう、1つの未来が無数に枝分かれしてできた世界。
僕はその無数に別れた世界にいるもう1人の自分と会話が出来る。
『まぁ、もう1人のっていっても、ウン億人…数えきれない自分がいるんだけどな。』
僕「うわっ!ちょっと!勝手に人の脳に割り込まないでよ!」
だけどその無数の僕は、僕自身になんの遠慮もなく脳に割り込んでくるんだ。
『てかさっきから誰に喋ってるんだ?この時間なら俺しかいないだろ?』
僕「いいんだよ、気にしないで!」
パラレルワールド。
無数に枝分かれしていれば、枝分かれした自分はまるで自分じゃないような自分が産まれることもある。
さっきから喋ってるのがその例。
『てか奇跡だよな~。あんなたくさんの俺達がいて、ぐれてんのは俺だけなんてよ♪』
僕「胸はって言えないからね。」
実際は姿なんて見えないけど。
それと、あっちの僕たちは勝手に僕自身の脳に割り込めるのに、僕からはあっちの僕たちには割り込めないんだ。
『不満か?』
僕「だから、心読まないでよっ!」
『お前は俺だからな~』
ガチャ!
妹「ちょっとお兄ちゃん!うるさいんだけど!」
僕「あ…うん、ごめんね。」
『兄の威厳ねぇな~』
(うるさいわっ!)
ここで声に出したりなんかしたら大変だ。
妹「毎回、ヘコヘコ謝って。それでも兄なわけ?」
僕「君までそんなこと言わないでよ!」
妹「はぁ?」
『あははは、うけるわ~』
(うるさいわっ!)
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